日刊工業新聞社
2022年第6刷
A5判
192頁
定価2,200円(税別)

日刊工業新聞社
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意外にも品質不良の発生要因は製造よりも設計段階に多く見られるという。それだけに設計の技量を高める「設計力」が注目を集めている。本書は設計を進めるうえで要となるデザインレビューについてあるべき姿や用途における使い分け、効率的な運用の仕方などを解説した設計者必読の書。

(本書p.1より) はじめに

日本のモノづくりは、これまで幾多の危機を乗り越えてきた。21世紀になった今も世界的な大不況や未曾有の災害に立ち向かい、切り抜けている。
この日本のモノづくりを支えてきたもの、その一つは「現場力」である。そして、「設計力」もまた現場力と同様に重要な役割を担ってきた。この「設計力」については、2009年に‘「設計力」こそが品質を決める’(日刊工業新聞社)として上梓し、その重要性を世に問うた。
今回、さらに多くの設計者、および企業が設計力に取り組むことを狙い、第二弾‘「設計力」を支えるデザインレビューの実際’を著した。デザインレビューは、本署で述べる‘7つの設計力’の一つであるが、他の6つの設計力を高め、伸ばす役割を担っており、設計力全体を大きく左右する重要な活動に位置づけられる。
それゆえ、本書は、設計力の中からデザインレビューを切り出して取り上げている。お客様のニーズを図面として後工程に流すまでの設計段階における活動、すなわち設計プロセスに組み込まれた体系的な活動としてデザインレビューを捉えている。したがって、お客様のニーズ、それを踏まえた機能、性能、コストなどの設計目標値、その対応方法、詳細設計、安全設計、品質評価など設計段階のすべての開発課題が対象となる。つまり、デザインレビューの取り組みが、図面のレベルに大きく影響し、設計段階でのアウトプットを左右するのである。設計力とデザインレビューは表裏一体の関係を持つ-ここにデザインレビューの重要性がある。

先般、2014年末には燃料電池車を発売する、という発表があった。この発表は、開発設計者の総智を終結し、多くの技術を積み重ね、膨大な課題を乗り越えてきた結果と言えるであろう。一方、このような高度な製品の開発と身近な製品の開発(設計)にはある共通点がある。それは、‘開発とは、答えが分からないことに取り組み、自分たちで答えを見出すこと’である。つまり、開発課題へ取り組む姿勢が同じなのだ。
今後、車はもちろん、モノづくりは一層高機能化、複雑化が進むであろう。当然、より多くの開発課題への取り組みが必要となり、ますますデザインレビューの重要性は増していく。
本書は、デザインレビューは設計力を構成する重要な要素とであると位置づけ、「設計力とデザインレビューはどのような関係にあるか」、「設計プロセス(手順)の中でデザインレビューはどのように行われるか」、「デザインレビューでは何を議論するのか」、「デザインレビューでは何を準備するのか」など具体的に解説している。
最終的に「デザインレビューをやって良かった!」となるためには、粘り強い取り組みが必要だ。山積する課題の中で、それでも諦めずに取り組み続けるならば、デザインレビューのレベル、ひいては設計力のレベルを向上させることができる。
本書が、読者ならびに読者職場のデザインレビュー向上の一助となれば幸いである。

寺倉 修


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